すし処ひさ田 の 鮨ライブ @ 岡山 (赤磐)

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西日本出張の途中で岡山による機会があったので以前から一度は行ってみたかったお鮨のお店、ひさ田に行ってきました。

岡山県不動のお鮨ランキング No.1 のひさ田さん。岡山駅からのアクセスも悪く、週末のみの営業、写真撮影は禁止と障害があるにも関わらずお鮨好きの方の間では良い噂しか聞きません。出張に合わせて予約を取ったところ、一人席がたまたまキャンセルで空いているとのことで滑り込むことができました。

当日は岡山駅から路線バスに乗り訪問。所要時間は約50分と近くはない距離。到着したバス停はどこにでもあるような地方の住宅街でした。

住宅街をテクテクと歩き見つけた大きな一軒家がひさ田さん。二重の引戸を開けて入店すると中には13時に一斉開始するランチのお客さんがずらりとL字カウンターに。来店は余裕を持った方がよさそうです。客層はカップルやご夫婦が多く、一人客は二人のみ。数分の遅刻だったので厳しい対応をされるのも覚悟しましたが、カウンター越しの眼鏡坊主のご主人は優しく迎えてくださいました。カウンターに置かれた備前焼の鮨台が光っています。
   
以下、写真無しで文字のみですが料理について。

まずはつまみから。

蒸し鮑から始まります。煮汁をベースにしたジュレに少し大根おろしが入っているのでしょうか。鮑が肉厚で豪快に丸々一つをぶつ切りにして盛られています。蒸し具合も絶妙でビールを飲んでましたが日本酒にすればよかったと後悔。

お次はゴロゴロとした角切りにされた金目鯛。表面が少し調理されており身は生。ポン酢と芽ネギ、大根おろしと共に頂きます。こちらはまず、食べごたえが凄い。そして身の甘さとポン酢、芽ネギの食感が最高です。序盤からここまでレベルの高いつまみを出されて期待が高まります。思わずビールを早々に空けて、日本酒に切り替えてしましました。大将のオススメで出てきたものは京都のまつもと。微発泡が感じられる日本酒で暑い中歩いてきた身にしみます。
   
三品目は瀬戸内の小蛸のぶつ切りを酢味噌とハラペーニョ(唐辛子)のソースで頂きました。このハラペーニョソースが激ウマ。唐辛子のピリッと効いた辛さが夏らしく蛸を引き立てます。蛸自体も一匹丸々を目の前で人数分に切り分ける豪快な盛り付け。吸盤の歯ごたえといいまたしても最高の日本酒案件です。日本酒以外にもワインの品揃えも良さそうだったので次回はワインでもいいかも。

四品目は漬けモッツアレラチーズ。ひさ田さんといえば、と言っても過言ではない品。近所の牧場のモッツアレラチーズを漬けて、岡山産のオリーブオイル、醤油、パルメザンチーズ、山葵などを和えて頂きました。結果はこの組み合わせが非常に素晴らしい逸品。濃厚な甘みのある和風チーズジュースが完成です。まさかここまでのチーズ料理が鮨屋で食べられるとは思わず脱帽。

ここから握りに入っていきます。

まずはヤリイカ。隠し包丁が十字に施され、何より今まで食べたヤリイカの鮨の中でも一、二を争う肉厚さが特徴。熟成が効いているのか甘みがねっとりおと感じられます。カウンターから見られるひさ田さんの握りは他のお鮨屋さんと違い全身を使って大きな手振りで握られていました。あまりの身体の動きに飛び散る米粒。まさにライブパフォーマンス。調整された山葵、醤油、塩の組み合わせがほどける加減のシャリと組み合わさっているのを感じ、この握り方がこの店の正解なんだなぁと確信。

熟成ヒラメ。ヤリイカと同じくこちらも肉厚のネタが乗ったネットリとした甘みが特徴。昆布締めされたネタに酢が強めのシャリが合い、夏を感じる一品でした。
   
キス。こちらも夏のお魚ですがさっぱりとした白身の甘みを堪能できる握り。ここでお酒もおかわり。カウンターの奥の棚に鎮座していたぐいのみに開栓して空気に当てていた酒一筋を入れて頂きます。フルーティな味わいが白身に合います。

イサキの醤油漬け。鯛を思わせるその身は季節によっては鯛よりも美味いことを確信させる旨さ。季節の魚を並べられると季節毎に来たい思いがムクムクとでてしまいますね。ここまで頂いて、ひさ田さんの素晴らしさは大将のトーク力やパフォーマンスにあるのではないかと感じました。13時一斉開始のランチなのでお客さんはそれぞれ同じネタを食べます。その中で見える人と成りを即座に話題に変え全体に共有して一体感を高めていきます。うまく話がハマるとご褒美に一貫サービスしてくれたりもします。関西人としてはやる気のでるシステム。笑

大トロの漬け。サシのはいったビジュアルは百点。しかし、そこに乗せるのは山葵ではなく柚子胡椒。この組み合わせが最高でした。言葉にできません。

大きなだし巻きが一貫サイズで提供されます。三つ葉が入っていたり、山芋が混ぜてあるのかフワフワ熱々。ハフハフと美味しそうに頂きましょう。もちろん美味です。

イクラの軍艦。ここで大将が急にここだけはすぐに食べるように指示。なんでも海苔のパリパリ感が命の一品らしいです。ここで皆の会話が止まり、イクラを持っている人に注目が集まります。食べた瞬間に聞こえるのは正に海苔に歯が入る音。こちらも絶品です。海苔はやはり有明産とのこと。

クルマエビの握り。面倒だなぁ、とぼやきながらも一尾づつ丁寧に観音開きにする大将。普通の鮨屋だと一度開くのみですがもう一重開くことでエビの身がしゃり全体を包む大きさに。半生(?)に蒸されたエビの食感とともに人生で一番美味いクルマエビの握りでした。

アカウニの握り。よく冷やされた焼きウニの身がパリッパリの海苔に乗せられて提供されます。軍艦じゃないのがポイント、リッツ方式。苦味と甘味のハーモニーが半端ない美味しさ。日本酒も手伝ってアドレナリンが出ます。

肉厚のサバ。最近、どこの高級寿司屋でもサバが美味しい。歳を取りました。

おすましは湯呑みで海苔と共に。後ろで串焼きにされている鰻が気になります。

鰯の棒鮨は直接大将の手から。途中まで鰯の握りを作っていたのに、その握りを海苔で巻いて提供されたときには驚きました。こちらも海苔の具合と紫蘇の香りがたまらない一品。

串焼きにされていた青鰻がいよいよ登場。皮のパリパリ具合は関西式で焼かれた鰻の特徴。肉厚なのでそれでもふわふわの身。その間から溢れるウナジュース。テンションMAXです。軽快に大将に冷酒を頼んでいたら飲みっぷりを理由に一貫サービスしてもらいました。鰻サービスはヤバい。

三年もののたくあん、自家製ハーブも巻物。ここでも海苔の食感が目立つ。少し舌触りが違ったので別の海苔かと聞いたところ、表巻、裏巻で変えているそう。香り立ちが違うのだとか。

〆はきゅうりの細巻き。お腹がいっぱいの女性には細巻きにせずきゅうりをそのまま提供するスタイル。ほとんどの方が細巻きを食べていましたが。

最後にあんこ玉と呼ばれるピンポン玉程度のあんこの塊をいただいて終了です。

岡山の奥地まで来て人生最高レベルの鮨体験をさせていただきました。他のお店との大きな違いは何といっても大ぶりのネタとそれを逸品と呼ばれる領域にまできちんと昇華している点だと思います。肉も刺身も大ぶりの方が美味しいと思っていましたが鮨もそうなのかもしれない。軽快な、けれどきちんとした距離感のある人柄や季節を感じられるネタを味わいに絶対に再訪したいお鮨屋さんとなりました。

■□お店情報□■

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