Trois Mec の Tasting Menu @ Los Angeles

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ロサンゼルスの食通の中で話題になっているフレンチアメリカンのお店、Trois Mecに行ってきました。

ロサンゼルスに訪問する際には絶対に訪れたかったお店です。結論から言うと、近年訪れた国内外フレンチレストランの中でも上位に位置する満足度でした。長文になりますが御容赦ください。

直前の予約キャンセルが相次ぐロサンゼルスの高級レストランは最近、チケット制という珍しい予約システムを採用して対策をとるお店が増えているようです。予約は全て前払い。公式サイトからアクセスできる専用ウェブサイトを通じて希望日のチケットを購入します。万が一、キャンセルしたい場合でもキャンセルはできず、ライブなどのチケットのように代わりに行く人を探して売買する必要があります。

しかし、そこはロサンゼルスでも屈指の人気店。チケットは予約開始時刻から数分で売り切れることもザラ。今回の訪米に際してもチケットは手に入らず諦めかけていたのですが、このレストランの場合、公式Facebookページのコメント欄で頻繁に売買が行われています。たまたま希望日に売りに出している人と売買が成立し、無事に訪問できる運びとなりました。ラッキーでした。予約日前日にハリウッドにあるスターバックスでチケットを受け取ったのですが、売ってくれた方はTrois Mecの大ファンで、初訪問なら大満足間違いなしだと太鼓判。米国内で好きなレストラントークなど華が咲き、好みのレストランが似ていることから期待が俄然高まりました。

こちらがそのレストラン、Trois Mec。ピザ屋の外観に騙されて、知らずに訪れると地図を眺めて彷徨うことになります。こういった遊び心のある気取らないお店の雰囲気、好みです。

窓は全面スモークで覆われており外から中を伺うことはできませんでした。近づくと「NO MORE PIZZA」と書いてあり、ここが目的地だと分かります。

一歩、店内に入ると外観からは想像のつかない落ち着いた内装。席数は24席と小さいレストランです。ドレスコードも特になく、先客たちは既にカジュアルに料理を楽しんでいました。この日の予約は18時15分からだったのですがイケメンが明るく案内してくれました。どうやら15分づつ時間をずらして予約を取っているようです。

コースは85USD++の一本のみ。そこにプラスする形でその日のオススメの料理が2品ほど現地で提案されたり、ワインやジュースのペアリングが注文できたりもします。高級食材を使ったフレンチコースなのに基本のコースの値段が抑えられているのも大きな魅力でした。

この日の基本コースメニューは以下の通り。料理関係の英語はフランス語が混ざっていたりで難しいのですが感動したので日本語に訳してみます。

前菜スナック5種
– そば粉で作ったポップコーン
– タンドリーマドレーヌ
– フォアグラのフリット
– クリスピータピオカ
– マスタードクリームブリュレ
塩たらのクリームをもち米に和えて、なます野菜と
燻製穴子と菊芋、フォアグラを焦がしバターの出汁で
カレイの味噌漬け、ヒメスイバとほうれん草を添えて
鴨肉のグリルと季節のキノコ、ヘーゼルナッツアンチョビプラリネをブールブランで
カラメルブラウンバターライスプリンとクリームブリュレ
食後の焼き菓子

ここに追加料金で美味しそうだった、黒トリュフチーズのサンドウィッチ、アイス添えを加えて、ワインペアリングを注文。ワインは以下の通り。

NV, Domaine Pierre Richard, Cremant du Jura
2014 Manni Nossing, Miiller Thurgau “Sass Rigais” Alto Adige
2014 Broc Cellars, Counoise, Mendecino
2015 Yves Cuilleron, Les Potiers, St. Peray
2014 Domaine de Galouchey, Vin de Jardin Les Caberne, Bordeaux
2014 Domaine Gardies, Muscat de Rivesaltes Blanc
+
Cidrerie du Vulcain

フランスはジュラ地方のシャルドネベースのスパークリングワインで乾杯。シャンパンと同じく瓶内で発酵させる製法で丁寧に作られているとのこと。キリッとした味でこれからご馳走が入ってくる胃を期待させます。

そば粉でできたポップコーン。出来たてで香ばしいです。カウンター席だったのでキッチンで料理が出来上がっていく様子を眺めながら、あられ感覚で。

スパイシーな味わいが癖になりそうなタンドリーマドレーヌ。一口だけカレーを食べたような状態で食欲を掻き立てます。

フォアグラのフリット。 中に封じ込められたフォアグラのスープが小籠包のように溢れてきて熱美味い。

クリスピータピオカの正体はカリカリに揚げられたマッシュドポテトにタピオカを混ぜ込んだもののよう。チリパウダーがタンドリーマドレーヌと違うスパイスで胃を刺激します。

マスタードクリームブリュレはここまでの流れから一転、マスタードの酸っぱさとクリームの柔らかさで胃を包んでくれます。

ここまでが前菜スナック5種。一つ一つの完成度が高く完結してしまっています。全体的に味の濃いスパイシーなスナックが並びましたが、ペアリングのキリッとしたスパークリングとの相性でこれを見事に昇華。最高でした。東南アジア料理とキンキンに冷えたビールを丁寧に提供されたようなものです。コースはまだまだこれから。

ここで一旦仕切り直しと言わんばかりの、なます野菜ご飯。英語で「Namasu」って書いてあったのですが実物を食べるまで「膾(なます)」とは想像もしませんでした。膾の下にはマヨネーズベースのクリームソースで和えられたもち米が敷かれていました。一緒に食べると紅白膾と共に混ぜられている紫蘇、フライドオニオン、ドライレンコン、もち米がそれぞれに違った食感を演出していて口の中が面白いことに。なのに美味しい。なんだこれは、と衝撃を受けました。

半生フォアグラ in 出汁スープです。人生で食べたスープ料理の中で一番美味しかったです。提供直前に熱々の出汁にキューブ状のフォアグラ、穴子、菊芋が投入されます。この様子が見られるのもカウンター席の楽しみ。提供後は2分待って食べてね、と言われフォアグラに火が通っていく様子を見せつけられます。その間、焦がしバターとトリュフオイルが少し含まれた出汁の香りが暴力的に襲い掛かってきます。

待ちに待った2分後、最初に食べた一口目のバターの香りと出汁のハーモニーは忘れられません。その後もその出汁が演出する半生のフォアグラを口の中で溶かす幸せ。出汁を吸った燻製穴子がホロホロと口の中で崩す幸せ。ホクホクの菊芋をシャキシャキの青ネギと共に噛みしめる幸せ。それら全てが組み合わさってできる幸せ。もうこのスープの中にどれだけの幸せが詰まっているのか、記事を一本書きたくなるほどの幸せでした。人生のフルコースメニューを決めるのならスープ料理はこれに決めます。

春キャベツに包まれた白味噌でソテーされたカレイ。僅かなガーリックオイルと白味噌がモロヘイヤのようなほうれん草に合う優しい味。そして、春キャベツを脱がした先にいるカレイの完璧な火加減に撃沈。魚料理は本当に火の入り具合によって風味や固さが変わりますがこれは完璧。切り分けた身に再度、春キャベツを着せてあげて食べると幸せになります。この頃にはペアリングも手伝ってかなりテンションが上っていました。

そして、ここに来ての鴨肉のグリルのこのエロい赤色。表面に浮かぶのは血ではなく旨味成分。先程の魚料理で想像はしていたもののまたしても火加減が完璧でした。鴨肉の醍醐味は皮のパリパリ感と肉の柔らかさの融合。本当に凄いものを食べさせてもらいました。また、ブルーチーズソースで和えられた季節のきのこも美味しかったです。

ここで追加メニューのゴーダチーズサンドウィッチ。苦味のあるチーズとトリュフ風味のはちみつソース。チーズとはちみつサンドウィッチ。王道の組み合わせがここで来ました。添えられているアイスクリームも全く甘くなく、下に引かれているクッキー生地と食べることで食感に変化をつけるのが目的のよう。メインでもないデザートでもない不思議な立ち位置の一皿。

人生で初めて食べたライスプリンになります。カラメルブラウンバターやシナモンがふんだんに使われており、全体的にクリームブリュレ風にされていました。ただ、これは少し甘すぎました。日本人として、甘いご飯というものに抵抗があるのかもしれません。完食しましたが。

食後の焼き菓子はギモーブ。香辛料がふんだんに使われており、チーズベースな濃厚な味わい。

最後はキャラメル味の海苔キャンディでした。こちらもかなり甘い。

最終的にデザートが日本人には甘すぎる点を除き、料理の美味しさ、フレンチとしての見た目の楽しさ、フュージョン料理としての使われている食材を想像する楽しさ、と本当に満足できる内容でした。振り返ると「味噌」、「膾」、「紫蘇」、「海苔」、「出汁」と和食の食材や技術が使われていたのも日本人受けしたポイントだったのかもしれません。

それにしても、これが基本コース85USD++だなんて欧米価格では信じられないコスパです。ワインのペアリングもシードルやデザートワイン周りに遊び心があったりとレストランの雰囲気を感じられました。ロサンゼルスに旅行の予定がある人は一月前からチケットの予約をして人生に一度は行ってほしいレストランです。次回の米出張時には絶対に再訪します。

■□お店情報□■

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