べにや無何有 の 加能ガニ懐石 @ 加賀温泉

新年の金沢滞在を日本を代表する世界が認めた旅館、べにや無何有で過ごしました。

石川県は加賀温泉にあるべにや無何有さん。無何有は「むかゆう」と読むらしく、からっぽのなかの豊かさという意味だそうです。宿はこのコンセプトを実現するために作られた上質な空間で、世界的に有名な「ルレ・エ・シャトー」に加盟している一流旅館やホテルの中で最優秀賞を獲得した旅館でもあります。世界的にも有名なので外国からの宿泊客も多いそうです。実際に宿でもちらほらと見かけましたね。

     

ロビー周辺。旅館を謳いながらもロビーや客室に続く長い廊下を見るとあまり旅館らしさはなく、どちらかといえば美術館のような装い。打ちっぱなしのコンクリートが何もなさ=からっぽを体現しているようです。

ウェルカムドリンクのフルーツジュース。甘すぎない上品な美味しさでした。

   

   

ロビーから繋がる図書室もシックでシンプル。客室数も限られているため静かな館内でリラックスできます。外の景色を眺めていると感じるのは静謐さ。

   

コンクリートの打ちっぱなしで広い館内も薪ストーブの暖かさで苦にならない。薪が爆ぜる音を聞きながらの読書も夏の海のビールとは違った刺激。静と動。

   

   

各部屋には色の名前が付けられているそうで、今回の滞在では「深緋(こきひ)」に宿泊。ちょうど少し前に訪れた博多天神の鮨、久保田さんの綺麗な壁を思い出しました。

   

無何有ブランドのアメニティがいくつか。ロビーの売店で購入できるようです。

   

   

   

室内も畳敷き、竹敷きをメインにシンプルな内装。致命的に撮り忘れた個室露天も緑ゴケの映える静かな庭を望むよいものでした。少し小さめかな。

   

食事処へ繋がる方林円庭。食事は館内の食事処でいただきます。

今回の滞在はどうしても加能ガニを食べたかったので特別コースを注文していました。その甲斐あって先付けの香箱ガニからレベルが違う。この輝き。純粋に美しいですね。また、一緒に乗せられた琥珀色のジュレによって詰められた蟹のパーツが溶け合います。

   

   

向付けは寒ブリと甘エビに加え、加能蟹の洗い。絶品の出汁でしゃぶしゃぶして最高の加能ガニの刺身をいただきます。もちろん蟹はきちんとタグ付き。近くの橋立港のものを使用しているそうで、刺しを見て分かるこの鮮度。蟹の甘みを想像した口の中が洪水です。これをしゃぶしゃぶする贅沢。旬の脂ののった寒ブリも美味しいし、よい年になりそうです。

鮨は鮪と白海老。香箱蟹、寒ブリ、加能ガニ、白海老とかもう冬の北陸を制覇した気分になれます。

   

   

     

   

焼きガニは炭火焼きで。蟹味噌の甲羅焼き付き。身をほぐしてくれたり、焼き加減の違う足をよそってもらったりと至れり尽くせり。また蟹の甘みが最高で繊維がきめ細かいのか焼いても蕩ける甘さ。東京の真ん中、きた福でいただく蟹も最高ですが寒い冬、旅館で本場の最高のブランド蟹を頂く喜びには勝てないかも。

温物の炊合せも冬を感じさせます。里芋、管牛蒡、昆布巻、霞春菊、針茄子。胃を暖めてくれます。

冬の北陸食べ尽くしたと思ったら出てきたノドグロ。昆布で包まれた上、雲丹のソースと合わせられて脂ののった身が最高に美味しい。もう死んでもいい。

〆までたっぷり蟹の土鍋ごはん。満腹なのに三つ葉で軽減される気がして入るのだから怖い。

デザートは珍しい柿と胡桃のアイス。ウェルカムドリンク同様、上品な甘さでデザートが苦手な人でも食べられる一品。

   

   

   

露天のついた大浴場はかなり広め。朝風呂も可能。

   

個室露天から見える風景が素敵でした。冬のキンと冷えた空気の中、木々や苔に囲まれて空を眺めながら暖かい湯に浮かんでいると無何有が感じられる気がします。気分は middle of nowhere。

   

朝食はフレッシュジュースをスターターに。大葉のジュースや人参のジュース、グレープフルーツジュースなどから搾りたてのものを頂けます。おかわりできるので結局、全種類飲んでしまった。

   

   

朝食の内容は和食、洋食から選べます。こちらは洋食。オムレツの美味しさは流石の高級旅館。

   
和食も土鍋ごはんを焼き海苔、ちりめん山椒、加賀野菜などでいただくスタイルでかなり魅力的でした。

   

   

   

朝食後は館内を散策して宿を後にしました。

べにや無何有さんは高級旅館といっても物の豊かさで対応するのとはまた違った方向性のお宿でした。本当に洗練された空間内で自分の内面とゆっくり向き合える場所です。アート空間が好きな人にも向いているかもしれません。また、何より素晴らしかったのはお目当ての料理。夕食・朝食ともに大満足です。ただ、世界的にも有名なお宿で加能ガニを食べるとお値段はかなりの額です。こういった場所を訪れる際は金額のことは考えないようにしていますが気になる人は気になるかも。有り体に言えばコスパは微妙。接客も高級旅館にありがちなべったりとしたおもてなしではなく必要最低限な点も人によって評価が分かれるかもしれません。人生の節目にまた訪れたいなと思わせてくれる宿でした。ありがとうございました。

■□お店情報□■

べにや無何有旅館 / 加賀温泉駅

夜総合点★★★★ 4.1